「不安な患者には、話を聞いてあげるのがいい」「傾聴が大切」とはいうものの、実際患者から不安を訴えられたときどうしたらいいのかわからないことってないですか?
私は今もそうですが、一番は実習に行ったときに担当になった患者から「こんな治療するくらいなら死んだほうがマシ」といわれて、「そう思われるんですね」としか返せなかった自分がいました。いまでこそ多少は不安を訴える患者への対応はできるようになったつもりですが、改めてここで確認しておこうと思います。「死にたい」「不安でしかたない」と訴える患者への対応などを一緒に確認してきましょう。
不安とは
不安とは、何かが気になって落ち着かない状態を指します。不安は、患者でなくても看護師であろうと医師であろうと誰でも感じる不快な感覚です。何科であろうと患者は、何かしらの病気に罹患してその病気を治しに病院へ来ています。医療現場で不安な患者とはじめに出会うのは看護師です。不安に感じている患者への対応は身に着けておいて損はありません。
不安による症状とは
不安は、身体的な症状と精神的な症状の2種類の症状を起こします。
不安による身体的な症状
不安による身体的な症状は、自律神経に影響を及ぼすことによる頭痛、動悸、発汗、胸がしめつけられる感じ、胃部不快感を引き起こします。そのほかにも、息苦しさ、手のふるえ、頻尿、めまい、膝の力が抜ける、ふらつきなどの症状も現れます。あなたも、スポーツの試合などで不安になって頭が真っ白になったり、入試などで手がふるえて実力を発揮できなかったことなどなど、経験がありませんか。
不安による精神的な症状
不安による精神的な症状は、思考や知覚、認知機能に影響を与えます。思考には、死の恐怖感、気が狂いそうになる、気が遠くなる、不安な物事にとらわれて不眠になる、易刺激的になるなどがあげられます。知覚に対する異常としては、心臓が飛び跳ねてくる感じ、手足がゴムかなにかのようにぐにゃぐにゃする、四肢末端への痺れや熱感・冷感などがあります。認知機能においては、不安を与えている出来事の前後での判断能力の低下や記憶力の低下などがあげられます。重要なプレゼンや発表会で気が遠くなったり、手足が冷たくなったり、開始前後の記憶があいまいになっているという経験がある方も少なくありませんよね?
不安になると悪循環に陥る?
誰しもが経験したことがあるのではないでしょうか?試合前や発表会前に失敗するのではないかと不安になり、手や足がふるえ、ふるえたことで余計に不安になり、さらに呼吸が浅くなったり、手足が冷たくなったりといった不安の悪循環を経験したことがありませんか。
不安になると、不安の悪循環に陥ります。不安な出来事→どうしようと不安になる→不安による身体的・精神的症状→このままでは失敗するのでは…余計不安になる→不安による症状が悪化・・・といった具合にデフレスパイラルのような悪循環を起こします。
このような状態にならないように、看護師は患者の不安を取り除くことや、悪循環のスパイラルをどこかで断ち切る必要があります。それは次回以降に解説していこうと思います。
まとめ
不安になったときの症状や悪循環について解説していきました。不安になったときに患者にどのような症状があるのかを見て、不安の軽減や不安による症状への対処をできるとよいですね。次回は不安への対応の仕方を解説していきます。