看護技術

自殺企図あり?気分障害のうつ病や双極性障害の看護と観察ポイント

マイナビ看護師 [求職者募集]
ナス子
ナス子
先輩受持ちが双極性障害の患者さんになったんですけど、死にたいって訴えにどう対応したらいいのかわからなくなってしました。
パイセン
パイセン
あー精神科ではよくある場面だけど、いつも対応には考えさせられるものがあるね。
パイセン
パイセン
今回はまず鬱や躁の症状の理解をして看護のポイントや具体的な対応方法を確認しておこうか。

気分障害のうつ病や双極性障害では、希死念慮や自殺企図があったりと対応に困る場面も少なくなありません。
今回は、気分障害の症状や治療、看護、また具体的な対応方法を解説してきます。
この記事を読めば、うつ病の患者や双極性患者の対応方法や看護が少し見えてくると思います。

 

 

マイナビ看護師 [求職者募集]

気分障害とは

ナス子
ナス子
気分障害とか、うつ病とか、双極性障害とか呼び方がいろいろあっていまいち理解しにくいです。
パイセン
パイセン
確かに分類がいろいろあってわかりにくいね。
まずは気分障害とはなにか、原因や分類、症状を振り返って行こう。

気分障害とは、気分と意欲が障害される精神障害のことをいいます。

症状としては、抑うつ気分や意欲低下がみられるうつ病相と、気分高揚や活動性の亢進がみられる躁病相に分けられます。
気分障害には、うつ病相と躁病相を交互に反復的、周期的に繰り返す双極性障害と、どちらか一方のみを繰り返す単極性とに分けられます。

 

 

気分症がの原因·誘因とは

単極性·双極性障害ともに明確な原因は完全には解明されていません。

もともと遺伝子的要因のある人に、精神的·身体的ストレス要因が加わる事で気分障害が発症すると考えられています。

 

遺伝子的要因 家族にうつ病や双極性障害の方がいる、ストレスに脆弱な性格
精神的なストレス要因 家族や友人との死別、人間関係の不良や破綻、家族との不和、財産や社会的な地位の喪失、就職や退職、結婚や離婚、転勤、引っ越しなどの環境の変化
身体的なストレス要因 睡眠不足、慢性的疲労、甲状腺機能障害、がん、脳血管疾患、HIV感染などの感染症、月経期や出産前後、更年期障害などのホルモンバランスの調整不良、ステロイドや高圧薬の内服

 

特にうつ病前性格としてはメランコリー親和型性格が有名です。

うつ病になる人は考え方に癖や独特の傾向があります。
考え方はその人が生まれ持ったものや、環境、人生経験の中で育って行くものなので無意識のうちに染みついています。そのため修正も難しいものです。

うつ病になり易い性格傾向としては、先読み思考、白黒思考、べき(must)思考、深読み思考、自己判思考があげられます。

 

メランコリー親和型性格
  • 秩序を重んじる
  • 他人に気を使う
  • 頼まれるとNOとは言えない、断れない
  • 真面目、正直
  • 仕事熱心
  • 過度に良心的、小心者
  • 消極的、保守的
  • 頑固
  • わがまま

 

 

気分障害の分類

気分障害は気分と意欲が障害される病気すべてを指しているのでわかりにくいですが、本的には、うつ病相と躁病相があるかないかにわけて考えれば理解しやすいです。

うつ症状だけがあるものを単極性うつ病といいますし、単極性うつ病の中でも重度のうつ状態のものは大うつ病性障害と呼びます。

またうつ病相と躁病相の両方が見られる場合には双極性障害と呼びます。

余談になりますが、うつ病相のことを抑うつエピソード、躁病相のことを躁病エピソードと呼ぶこともあります。うつ病相、躁病相、抑うつエピソード、躁病エピソードと書くと途端に難しく聞こえるのはなぜでしょうか(笑)

以下の説明ではなるべくわかりやすくうつ状態、躁状態と表現します。

 

 

気分障害の症状

うつ病相(うつ状態)の症状

ナス子
ナス子
あー私も鬱になって来ました。
パイセン
パイセン
抑うつ気分があるか、興味や嬉しい気持ちがなくなったりするとうつ病と言われているけど、君のは仕事が嫌なだけだな笑

うつ病相での2つの基本的な症状は「抑うつ気分」と「興味·喜びの喪失」です。

どちらの症状も見られないときは典型的なうつ病とは言わないので、ただ単純に「鬱だー」というのはうつ病ではありません。抑うつ気分のときにはそのような発言をする気力もなくなっています。

うつ病相(うつ状態では)の主な症状は以下のようなものがあげられます。

うつ病相の主な症状
  • 抑うつ気分:気持ちが滅入る、気持ちが沈む
  • 興味,喜びの喪失:趣味が全く楽しめない、世の中の事に関心がなくなる
  • 食欲低下:食べ物の味がしない、おいしくない
  • 不眠:寝つきが悪い、夜中に何度も起きる
  • 精神運動制止:話すことも動く事も遅くなる、できなくなる
  • 易疲労感:気力の減退歯みがきや顔洗いがめんどう、お風呂に入る気力がない
  • 無価値感:罪業感自分には存在価値がない、全部自分が悪いのだ
  • 思考力·集中力の低下:新聞やテレビに集中出来ない
  • 希死念慮、自殺企図:死に方を考えてしまう、反復的に死を連想してしまう

 

また、うつ状態のときにも統合失調症とよく似た幻覚·妄想といった精神症状がみられるきもあり、精査が難しい場合があります。

うつ病でみられる妄想は、微小妄想です。微小妄想とはいかのようなものがあります。

貧困妄想 (実際にはお金に困っていないのに)「お金がないから入院費が払えない」「生活していけない」
罪業妄想 (実際には罪がないにもかかわらず)「とても大変なことをしてしまった償わなくてわ」
心気妄想 (実際には身体疾患がないのに)「治らない病気にかかってしまった」「自分は癌だから死期が近い」

 

 

その他には、身体的な症状を訴える患者もいます。

身体的な症状とは、頭痛やめまい、肩こり、動悸、下痢、便秘、吐き気など多岐に渡ります。とくにうつ病の高齢者にこのような身体症状の訴えが現れやすいです。

 

躁病相(躁状態)の症状

ナス子
ナス子
なんかいろいろ話して止まらないってことはよくありますね。軽躁ですかね?
パイセン
パイセン
それは軽躁じゃなくて、愚痴がいいたくてしかたないだけじゃないのか?笑

躁状態の2つの基本症状は、「気分高揚感」と「イライラして怒りっぽい」です。


その他にも以下にまとめる7症状があります。

躁病相(躁状態)の症状
  • 高揚気分:ハイテンションで手がつけられない程の活動性がある
  • イライラ、易怒性:些細なことが気になったり、言葉尻に怒鳴ったりする
  • 自尊心の肥大:自分が強くなった、偉くなった様に感じる
  • 睡眠欲求の減少:眠らなくても平気、もしくは寝れない
  • 多弁:猛烈な勢いで話し続ける 息つく暇もない
  • 観念奔逸:考えが次から次へと浮かんで思考が止められない

うつ症状と同様で、こちらも幻覚や妄想が見られることがあります。
特にうつ状態とは対照的に、躁状態では「◯◯はおれが開発したんだぞ」といった発明妄想や、「天皇家の血筋だ」といった血統妄想が見られます。
これらは誇大妄想とも呼びます。

 

 

気分障害の治療は薬物療法、休息、精神療法の3本柱

気分障害の治療はうつ状態のときと、躁状態のときとで治療方法が異なりますが、基本的な治療は薬物療法、休息、精神療法の3本柱です。

薬物療法は、うつ状態では抗うつ薬、躁状態では気分安定薬を使い症状の緩和を図ります。

またうつ状態にしろ、躁状態にしろ、薬物療法により症状を軽減して、眠剤などを利用しながらまずは睡眠をとって休息をとってもらうことも重要です。

患者本人の状態を一番把握しているのは看護師なので、症状を逐一主治医へ報告しましょう。

精神療法としては、短時間でも行える小精神療法の「笠原の7か条」が効果的です。

「笠原の7か条」は精神科医の笠原嘉氏が提唱した精神療法です。患者の性格や考え方を変えることに焦点を置かず、患者従来の生活や状態に回復させることを目指すものです。30年以上も前に提唱されたものですが、うつ病治療の本質ともいえるものなので、現在でも精神科医が診察に取り入れているので、看護師も知っておくべき考え方でしょう。

 

うつ病の小精神療法に関する「笠原の7か条」
  1. うつ病は病気であり,単に怠けではないことを認識してもらう
  2. できる限り休養をとることが必要
  3. 抗うつ薬を十分量,十分な期間投与し,欠かさず服用するよう指導する
  4. 治療にはおよそ3か月かかることを告げる
  5. 一進一退があることを納得してもらう
  6. 自殺しないように誓約してもらう
  7. 治療が終了するまで人生における重大な決定は延期する

 

うつ病(病相期)の小精神療法 季刊精神療法 笠原嘉 1978年4月

 

 

 

ナス子
ナス子
やっぱりお薬と休息、そして精神療法が重要なんですね。
パイセン
パイセン
そのとおり!次はうつ状態、躁状態のそれぞれの治療について見ていこうか。

 

うつ状態への薬物治療

うつ状態に関与している脳内の神経伝達物質は、ドパミン、ノルアドレナリン、セロトニンといったものがあります。

薬物療法で、神経伝達物質の量を調整することでうつ状態を改善させます。

抗うつ薬には以下のようなものがあります。

三環系抗うつ薬 アナフラニール・トフラニール・トリプタノール・アモキサン・ノリトレン
四環系抗うつ薬 ルジオミール・テトラミド
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬) パキシル・ジェイゾロフト・レクサプロ・デプロメール/ルボックス
SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬) サインバルタ・イフェクサー・トレドミン
NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬) リフレックス/レメロン

三環系から下にいけばいくほど、新しい薬剤となっています。

三環系抗うつ薬は、抗うつ効果は強い一方で副作用が出やすいというデメリットがあります。そこで開発されたのが四環系やSSRI、SNRI、NaSSAなどの薬剤です。

うつ状態が軽度の場合には、薬剤に頼らずに精神療法や心理教育を行いながらうつ症状の改善を目指しますが、うつ状態が中等度や重度の場合には抗うつ薬を使用します。

基本的には新しい薬剤を使って効果を見ますが、新しい薬剤の効果が薄い場合には、抗うつ効果の強い三環系、抗精神病薬などを併用しながら治療を行っています。

 

抗うつ薬を使用する場合の注意点は、当然ながら副作用の出現です。

抗うつ薬を24歳以下の若年患者に使用すると自殺企図や自傷行為などのリスクが増加します。

また、不安や焦燥感などの症状を呈するアクチベーション症候群や、セロトニンの効果が極端に抑えられて中毒症状を呈するセロトニン症候群などにも注意が必要です。

症候群名 症状
アクチベーション症候群 不安、焦燥感、パニック発作、不眠、衝動性、攻撃性の亢進、アカシジア、軽躁状態
セロトニン症候群 下痢、発汗、新鮮、運動失調、ミオクローヌス、腱反射の亢進、失見当識、震え、固縮、発熱、せん妄、昏睡、てんかん重責発作、心血管系の虚脱、死

上記の抗うつ病薬の効果が現れるまでの間に数日かかることもあるため、うつ状態の不安や不眠に対してはベンゾジアゼピン系睡眠薬やベンゾジアゼピン系抗不安薬などを使用することも有効とされています。

しかし、ベンゾジアゼピン系の薬剤は依存性があるため漫然と継続使用しないように主治医と連携が必要になります。

 

 

躁状態への薬物治療

躁状態への薬物治療で、最も推奨されるのはリチウムです。リチウムによって躁状態が改善されるほか、双極性障害における死亡率も有意に低下します。

しかしリチウムは血中濃度がある程度安定しないと効果が現れません。つまり入院時や急を要するときのリチウムには即効性がありません

そこで躁状態による多弁さ、イライラ、易怒性、高揚感を抑えるため、鎮静作用のある非定型抗精神病薬(オランザピン、アリピプラゾール、クエチアピン、リスペリドン)を初期に併用することが多いです。

 

リチウムの次に推奨される薬物は、バルプロ酸、カルバマゼピンなどの気分安定薬、上記の非定型抗精神病薬、それらの併用です。

 

リチウムやバルプロ酸、カルバマゼピンなどの気分安定薬は血中濃度が安定するまでは効果がでないため、採血による血中濃度の測定が定期的に行われます。下に気分安定薬の目標血中濃度を載せておきますので、主治医と連携して血中濃度の確認を行ってくださいね。

気分安定薬名 躁状態治療血中濃度 病相予防濃度(維持療法)
リチウム 0.4~1.2mEq/L 0.3~0.8mEq/L
バルプロ酸 50~125μg/ml 40~100μg/ml
カルバマゼピン 4~12μg/ml 2~10μg/ml

 

抗うつ薬と同様、気分安定薬も副作用に注意が必要です。

気分安定薬は血中濃度が重要で、血中濃度が高くなりすぎると中毒症状が現れます。

リチウム中毒は初期症状として食欲低下・吐き気・嘔吐・下痢などの消化器症状、振戦・傾眠・錯乱などの中枢神経症状、運動障害・運動失調などの運動機能症状、発熱・発汗などの全身症状が現れます。

症状がみられた時点でリチウムの中止や減量を行います。

リチウム中毒が進行すると腎臓へのダメージにより急性腎不全となり、電解質異常や全身痙攣、ミオクローヌスなど生命を脅かすことになります。

 

 

薬物治療以外の治療

ナス子
ナス子
お薬は横文字だらけでなかなか看護師が介入する余地がないですよね。
パイセン
パイセン
副作用の観察は看護師の重要な役割だけれどお薬の処方は先生だからね。
お薬以外にも看護師が介入できる治療もあるので覚えておくといいかもしれないね。

 

気分障害に対しての精神療法

気分障害における精神療法は、うつ状態や躁状態の原因になったストレスを振り返って、その対処方法を考え、調子のよい時期を維持すること、また再発を防ぐ目的で行われます。

精神療法の考え方は、上記の「笠原の7か条」です。

また、具体的な精神療法の方法は、「認知行動療法」「対人関係療法」があります。

 

認知行動療法とは物事の考え方や受け取り方に働きかけて、気持ちを楽にしたり、自分の行動をコントロールする治療方法です。

たとえば、「挨拶したときに無視されたと感じた」患者がいたとします。

その場合には、「無視された」のでなく「聞こえていなかったかもしれない」と思考を切り替える練習をしたり、「相手にも事情があったのかもしれない」「自分も忙しいときには返事できない」と考えたり、無視されたと感じている自分の気持ちに気づき別の行動でストレスをためないようにしたりといった感じです。

認知行動療法を通して、「自分の心のあり方をコントロールする技術」を練習します。

認知行動療法の技術の例
  • 思考のバランスをとって、心を軽くする技術
  • 行動を通して、心を軽くする技術
  • 期待する現実をつくリ出して、心を軽くする技術
  • 問題を解決して、心を軽くする技術
  • リラックスする技術
  • 自分を伝えて、心を軽くする技術
  • 心の法則を書き換えて、心を軽くする技術

 

 

対人関係療法は、他者との関係を見つめ、その対処方法を見つけていく心理療法です。

うつ状態を引き起こす原因・要因となった対人関係の問題を解消することで、ストレスを軽減させる目的で行います。

人と人との関係なので、なかなか対人関係が改善されるケースは少ないですが、距離間を取る練習や言葉かけの練習などを通して対人関係の改善を目指します。

対人関係が改善されると患者の周りの方にも受け入れやすくなるので、回復に向けた仕事場でのサポートや家族からのサポートなどを受けやすくなるメリットがあります。

 

反復性経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)

反復性経頭蓋磁気刺激療法(rTMS) とは、特殊な刺激コイルを使用して、頭の外側から逃避や頭蓋骨を通して、磁気刺激を脳に与えて、抗うつ作用をもたらす治療です。

全身麻酔下で行う必要があるmECTに比べて、麻酔がいらないため簡易に行うことができます。

また狙いたい部位に局所的に刺激を与えることができ、刺激のパターンを変えることで、促通性や抑制性のどちらにも刺激が可能です。

世界各国で反復性経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)によってうつ病に効果があったという結果が報告されています。また難治性うつ病患者にも一定の治療効果がことも分かってきています。

日本では反復性経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)は保険適応になっていませんので、まだ先の話になりますが、近い将来、薬物療法と反復性経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)を選べる時代がくることが期待されています。

 

高照度光療法

高照度光療法は、季節性うつ病に有効とされている治療方法で、部屋の明るさの数倍~数十倍(1,500~10,000ルクス)の光を毎日1~2時間浴びることで体内時計をリセットさせます。

 

うつ状態への看護の実際

ナス子
ナス子
うつ状態の患者さんへの対応方法や注意点などあれば教えてください。
パイセン
パイセン
うつ状態で意識するのは、常に自殺のリスクがあることだよ。

自殺予防

鬱状態であろうとなかろうと単極性うつ病、双極性障害など気分障害の患者は常に自殺の危険性があると考えましょう。

特に鬱状態の初期、鬱状態から身体的なエネルギーが回復しはじめた時がもっとも危ないです。

身体が動くようになって来たけれども、まだ精神的にはうつ状態というギャップが生まれるからです。

自殺直前には特徴的なサインが見られることがあるため患者の変化にアンテナを張り巡らせておくことが看護師には求められます。

自殺のサイン

自責的,罪業的な訴え:「自分のせいで周りの人が不幸になる」「生きる価値のない人間だ」
身体症状、心気的訴え:「大病にかかってしまった」「あと1カ月で死んでしまう」
状況に合わない感謝:「いつもお世話になりまして」「どうもありがとうございました」
貧困妄想:「お金が無くて生活がままならない」「このままでは家族を養えない」
悲観的·絶望的な訴え:「もうこんな人生はおしまいにしたい」「お先真っ暗だ」

 

自傷や自殺の道具や手段をなくす

患者の療養環境から自殺の道具となりそうなものや利用できそうなものをなくす
たとえば以下のようなものがあります。

自殺の道具、手段となりうるもの

ベルト、衣類、カーテン、延長コード、ガラス製品、ペンや鋭利な筆記用具など

 

患者を物理的にも心理的にも孤独にしない

うつ状態の患者が自殺に傾倒していくのは、物理的に孤独を感じたり、誰にもわかってもらえないと心理的に孤独になった時です。

まず物理的に1人にしないことが重要です。入院中であれば、看護師の目がなるべく届きやすい居室への転室を検討したり、患者の所在を逐一確認したりと物理的に孤独にしないこと。

また、心理的に孤独にならない様に声掛けにも注意が必要です。看護師や家族、他人が自分のことをわかってくれない、自分はだれにも理解されないと感じると自殺へのハードルが下がります。

患者を観察することはもちろんですが、患者の行動や言動の変化に気付き、患者の死にたいほど苦しいつらい気持ちに寄り添うことが大切です。

たとえば風景画集を見たり、塗り絵などをしながら話すことも時には必要です。患者が話さなくても次々と話題を変える必要はありません。沈黙もコミュニケーションの一つです。

うつ状態になると反応性が低下したり、意欲が低下したりするため沈黙が現れるのは自然な反応です。
無理に話させたり、医療者ばかりが話したりすると、かえって症状を悪化させます。

 

保護室(隔離室)を活用する

自殺のリスクが高い場合には保護室の活用も主治医へ相談する必要があります。

自殺をしようと考えている患者は看護師や看護補助者の動きをよく見ています。

たとえば私の経験ですが、日勤から準夜へ申し送りする17時台、日勤スタッフは「やっと終わった」と気が緩む時間帯ですし、準夜スタッフは申し送りがずれ込んでステーションに居る時間帯です。この時間帯はどうしてもスタッフの観察が手薄となり、その隙に衣類で首を絞めつけて自殺を試みた患者がいました。

閉鎖病棟でどんなに自殺の道具や手段を除去しても、自殺することにとらわれた患者はどのような、どんな方法でも自殺をしようとします。

自殺のリスクが高く、看護師の観察にも限界があるときには、やむおえないですが、保護室の活用も検討しましょう。

 

必ず良くなることを保証する

看護師より医師から伝えられる方がいいことですが、睡眠や休息をしっかりとり、薬物療法が安定すれば、必ず良くなることを伝えましょう

うつ状態では、自分が病気であるという病識が薄く、何も出来ない自分を責めたり、もっと頑張らなくてはと自分を無理矢理鼓舞したりする事も少なくありません。

そうしているうち一向に良くならない自分に絶望していきます。

医療者が「病状はよくなると保証すること」で患者が安心することもあります。

心気的な訴え、微笑妄想に対応する

 

休息,睡眠を促す

統合失調症にしろ、気分障害にしろ休息や睡眠はもっとも重要な治療の一つです。

うつ状態であれば活動エネルギーを浪費しているため、うつ状態の症状が縮小するまでは休息を促しましょう。

基本的に規則正しく睡眠をとることが望ましいですが、起床時間を厳格に決めることは患者の心的な負担となる為、入院直後等は明確な起床時間を設定せずに休息を優先することもあります。昼夜逆転にならないよう注意が必要です。ま、なってしまう事が多いんですけどね笑

休息や睡眠の実際の看護
  • 安心して睡眠できる方法を考える:深呼吸や自律訓練法の呼吸を試す、足浴、アロマ、ヨガやストレッチの実践
  • 日中の活動を増やす:作業療法の導入、散歩やラジオ体操をする
  • 不安を傾聴する:眠ってもらうために患者と話す時間をないがしろにするよりは、何が不安なのかを患者に言語化してもらうことが大切。

 

服薬の必要性を説明する

上記でも触れましたが、抗うつ薬や気分安定薬は血中濃度が安定するまで時間がかかります。逆に副作用の方が先に出現することも多い為、患者が内服を渋ったり、やめてしまったりすることもあります。

お薬が効くまでに時間を要する事、口渇や便秘等の副作用が出やすいことを説明しておき内服の必要性を確認しておきましょう。

また、副作用が出た際には知らせて欲しいことを伝え、副作用に対応した対処法や内服の調整を主冶医と相談しましょう。

 

励まし厳禁

うつ状態の患者への対応では基本となるのでいうまでもありませんが、安易な励ましは避けましょう。

うつ状態の患者は、悲観的、絶望的に物事を捉えやすいです。なにもできない自分への焦燥感、自己肯定感も低い為、頑張れなどの励ましは患者を心理的に追い込みます。

患者に今のうつ状態が悪い事で、それをどうにかする努力をしなくてはいけないと思わせることは危険です。

 

 

躁状態への看護

ナス子
ナス子
躁状態だと多弁で対応に困ることもあります。
些細な言葉で怒ったり・・・。
パイセン
パイセン
興奮したり、手を挙げそうになることは躁状態ではみられるね。けれど重要なのは病気がそのような行動をさせていると理解すること。
躁状態が改善すれば人がいい人ばかりな印象だよ。

 

興奮や攻撃性による危険を避ける

躁状態の患者は、ささいなことで興奮したり怒ったりすることがあります。

また、幻覚や妄想などの症状も見られるため、危険性はより増します。

まず、患者とは適度な距離感を保ちながら関わること、興奮や暴言、攻撃性が高い時には複数名で対応することが原則です。

あまりにも状態が悪い場合には、保護室(隔離室)を活動して刺激の遮断を行うことも検討します。

保護室に入室したからといって危険性がないわけではなく、壁叩きやドア蹴りなどのリスクはありますし、ベッドやトイレなどの破壊行為が見られることもあります。

看護師の声掛けやしぐさが刺激になることもあるため、穏やか口調と表情で対応し、興奮が激しい際には無理せず対応しましょう。

 

金銭管理

すべての躁状態の患者に当てはまるわけでありませんが、だいたいの患者は躁状態になると浪費傾向になります。

入院してもそう傾向はすぐには改善しません。

売店でこれをかってくれ、ネットでこれを買いたいと訴えはさまざまですが、必要時医師の指示のもとで看護師が金銭管理を行う場合があります。家族にも同意を得る 要があるのは忘れずに。

浪費といっても一般的な浪費ではなく、常軌を逸している事もしばしばです。例えばブランド物のパックを大量に購入したり、息もしないエステやゴルフクラブに入会したりと際限なく使います。

看護師や家族の対応としては、今現在いくらあるからここまでしか使えないと現実的な対応をその都度行っていきます

 

 

まとめ

気分障害はうつ状態と躁状態があり、看護や対応もそれぞれで異なります。

また、うつ状態では常に自殺のリスクがあることを念頭において患者の行動や言動を観察するようにしましょう。

躁状態では、統合失調症と同様で興奮や攻撃性が強いときには、複数名スタッフで対応して、患者と一定の距離をとりながら対応しましょう。

躁状態の興奮や暴力や暴言で患者に陰性感情を覚えやすいですが、暴力や暴言は病気が言わせているという意識をもって対応しましょう。

うつや躁から早期に脱却し、患者本来の性格や生活を取り戻せるよう関わっていきましょう。

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