看護技術

統合失調症の看護!観察ポイント、アセスメント、看護目標とは

マイナビ看護師 [求職者募集]

この記事は現役精神科看護師である管理人の監修の上で、最新の医療やエビデンスに基づいて作成しているつもりではいますが、誤りや気になることがあればお知らせください。

ナス子
ナス子
はぁー・・・。
パイセン
パイセン
どうしたんだぃ?
ナス子
ナス子
いえ、受け持ちの患者さんが統合失調症の方なんですけど。
勉強しても統合失調症の方への看護がいまいちわからなくて。
パイセン
パイセン
なるほどね!
統合失調症は、患者さんによって個別さがあるから対応が難しいね
ナス子
ナス子
そうなんです。
幻聴の訴えにもどう対応したらいいか・・・。
教科書的なことを読んでも具体的な対応がわかりにくくて・・・。
パイセン
パイセン
ふむふむ!
ナス子
ナス子
声掛けの仕方を間違えたら、怒ったり拒薬したりしたら困るなぁーって思うんです。
パイセン
パイセン
わかるわかる!
パイセン
パイセン
じゃ、今回は統合失調症の基礎知識や看護、対応方法を簡単に振り返ってみようか!
ナス子
ナス子
いいんです!?
ぜひ、お願いします!!
マイナビ看護師 [求職者募集]

統合失調症の看護ケア-この記事の概要-

統合失調症の患者への対応方法で困るというのは、新人の看護師に限らずベテランの看護師でもあることです。

今回は、そんな統合失調症の知識を一度おさらいしておきましょう。以下のことをこの記事では解説していきます。

 

今回統合失調症に関して学ぶこと
  • 統合失調症の基礎知識(症状、診断基準)
  • 治療の進み方(症状経過、薬物治療、精神療法)
  • 看護観察ポイントとアセスメント、看護目標
  • 具体的な対応のポイント

 

 

統合失調症の基礎知識

パイセン
パイセン
はじめに統合失調症の基礎知識として症状や診断基準を確認しておきましょう。

統合失調症とは、幻聴・被害妄想などの陽性症状、感情の平板化・意欲低下などの陰性症状を主体とする原因不明の精神疾患です。

 

統合失調症の急性期には、

  • 実際に存在しない声が聞こえたりする幻聴
  • 物や人が見えたりする幻視
  • 周りから悪口を言われている・自分の考えが筒抜けになっているといった被害妄想

といった陽性症状が著明になります。

 

統合失調症の慢性期(消耗期、休息期)には、

  • 周囲のことに無関心
  • 感情表現がうまくできなくなる感情の平板化

などを主体とする陰性症状がみられるようになります。

 

原因は、まだはっきりしていませんが、脳内の神経伝達物質であるドパミンやセロトニンの「量」に異常が生じているため上記のような症状が現れるといわれています。

統合失調症の罹病危険率は0.7%前後と言われています。これは100人に1人が発症する計算となります。

ちなみに時代、民族で大きな差異はなくほぼ一定。統合失調症は男女で好発年齢が異なり以下のようになっています。

男性 15~24歳
女性 25~34歳
男女比 1:1 (男女差は見られない)

※思春期から35歳までに発症することが多いが、40歳以降でまれに発症するケースもあります。

統合失調症の陽性症状と陰性症状、その他症状とは

ナス子
ナス子
統合失調症の症状は、「陽性症状」「陰性症状」が有名ですよね。
パイセン
パイセン
その2つに加えて、最近は「思考障害」「認知機能障害」の症状も、治療や看護において重要な観察ポイントとなってきてるんだ。

陽性症状は幻覚、幻聴、被害妄想

陽性症状は、中脳辺縁系でドパミンが過剰になることで起き、幻覚や幻聴、被害妄想や体感幻覚などの症状のことを指します。

統合失調症においては、急性期によくみられる症状です。幻覚や妄想が認められるからといってすべての患者が統合失調症というわけではありません。しかし、統合失調症の幻覚や妄想には、大きな2つの特徴があります。

  • 本人にとっては紛れもなく真実で、幻覚や妄想に左右されて気分や行動してしまう
  • 他人が自分に悪いことをすると被害的、他罰的である

このような幻覚や妄想が持続すると、徐々に自分の思考なのか、他人の思考なのかわからなくなり、気分や行動への影響も大きくなっていきます

 

陽性症状には、以下のようなものがあります。

幻覚  実際には存在しない声が聞こえたり、人影が見えたりする
被害妄想 周りから悪口を言われている、悪く思われていると思い込む
滅裂思考 統一性がなく話が飛んだり、意味不明な話をする
誇大妄想 自分はもっとやれると事故を過大評価する妄想
体感幻覚 電波を受信している、身体に発信機が埋め込まれているなどと実際には存在しない感覚を訴える

 

陰性症状は感情の平板化、意欲低下

ドパミンの分泌がでなくなることで、統合失調症の陰性症状である感情の平板化や無気力といった症状が現れます。

陰性症状は、統合失調症の慢性期によくみられる症状ですが、陽性症状の幻覚妄想から無気力となっているのか、ドパミンの分泌が低下しているため意欲低下しているのか観察することが重要になります。

ちなみに中脳辺縁系ではドパミンが過剰になると陽性症状が、中脳皮質系でドパミンが欠乏すると陰性症状が起こると考えらえています。

 

統合失調症の陰性症状としては以下のようなものが見られます。

感情の平板化 単に意欲低下が起こるわけではなく、感情表現そのものが乏しくなる
意欲低下 活動性が低下しやる気がでない、無気力で自閉的になる
思考の貧困化 思考力が低下し会話への反応が乏しくなったり会話が途中で途切れる
対人コミュニケーションの低下 他人との関わりを遮断し自閉的に。自室にこもり社会性が低下。
集中力の低下 物事への集中力が低下し多くの物事を処理できなくなる

 

その他の思考障害、認知機能障害の症状

最近注目されているのが、思考障害、認知機能障害です。

これらの症状は陽性症状や陰性症状、その他環境要因などさまざまな要因が重なって生じている症状です。一概にすべての統合失調症の患者に当てはまるわけではありませんが、以下のような症状が現れることを念頭に看護を行う必要があります。

注意の障害 情報や刺激に対して適切に対応することができない。同じ仕事を長時間できない。指示がなかなか入らない
概念形成の障害 物事を概念化できないため、過去に学ぶことができない。
同じ失敗を繰り返してしまう。
実行機能の障害 判断・瞬発能力の低下が起こり、何か手を付ければいいのかわからない。臨機応変に対応することができない。

 

統合失調症の診断基準

統合失調症の診断基準はアメリカの精神医学会診断統計マニュアル(DSM-Ⅳ-TR)で定義されており、以下のようになっています。

  1. 幻聴
  2. 妄想
  3. 解体した話(頻繁な脱線や滅裂など)
  4. ひどく解体した、または緊張病性の行動
  5. 陰性症状すなわち感情の平板化、思考の貧困または意欲の欠如
  6. 社会的または職業的機能の低下

上記項目のうち、2つ以上が1ヶ月以上の間、常に存在することが診断の根拠になるとされています。

アメリカ精神医学会診断統計マニュアル
DSM-IV-TR精神疾患の分類と診断の手引きより

 

症状の経過と治療の進み方

ナス子
ナス子
統合失調症の基礎知識は復習できましたけど、
症状って段階ごとで違いましたよね?
パイセン
パイセン
そのとおり!
統合失調症は4つ段階に経過を分けることができるよ。
治療もその段階に合わせて薬物治療、作業療法、精神療法などを組み合わせているよ。

統合失調症の4つの段階的経過

統合失調症の症状の経過は、患者それぞれで違いますが、一般的には、前兆期、急性期、消耗期、回復期の4つの段階で経過していきます。

これは段階ごとで順番に経過するわけではなく、ストレスや環境によって再発したり、軽快が早くなることもあります。

大体は急性期が数週間、消耗期が数週間~数か月、回復期は数か月~年単位で経過します。

統合失調症の治療は段階ごとで異なる


統合失調症の治療は、当然ながら薬物治療が中心となります。患者の経過段階ごとで治療方法は異なり、急性期には幻覚妄想が強く活動エネルギーが過剰になっていることが多いため、鎮静目的で抗精神病薬や抗不安薬、眠剤などを活用しながら休息を促します

また、休息期には、急性期で増薬された薬物の調整を行いながら、早い段階で回復期に移れるように治療を行います。

回復期に入れば、認知行動療法をはじめとする生活療法や、作業療法などのリハビリテーションなどを利用しながら退院の準備をしていきます。

薬物療法

統合失調症における薬物治療は、抗精神病薬の投与を中心に、抗不安薬、睡眠導入剤を治療に用います。従来、急性期の幻覚、妄想状態が激しい場合、鎮静作用の強いフェノチアジン系薬物ではクロルプロマジン(ウインタミン、コントミン)、ブチロフェノン系ではハロペリドール(セレネース)を用いてきました。

現在も幻覚、妄想による興奮状態が強い場合には、セレネースの筋注が行われるケースが多いです。

近年、パーキソニズムなどの抗ドーパミン作用による副作用が比較的少ない非定型精神病薬のリスペリドン(リスパダール)、オランザピン(ジプレキサ)、ペロスピロン(ルーラン)、クエチアピン(セロクエル)などが開発され、第一選択薬として用いるようになっています。

精神療法

精神療法とは、治療者と患者の間に生まれる人間関係によって、患者の心身の問 に好ましい変化がもたらされるような治療で、薬物療法などの治療効果をあげるためにも、精神療法が重要です。

また、対人関係のスキル向上のための集団精神療法、患者の家族に対して家族療法などを必要に応じて行います。

電気痙攣療法(ECT:electroconvulsive treatment)

急性期における薬物療法の効果が得られない場合や希死念慮が強く早急な対応が求められる場合、あるいは身体合併症などにより薬物療法が行えない場合などは電気痙攣療法を行う場合があります。しかし最近ではあまり見ない治療かもしれません

生活療法とリハビリテーション

回復期に入り精神症状の改善や安定に合わせて、薬物療法、精神療法に合わせて、生活療法、リハビリテーションを組み合わせて、社会復帰への段階へと治療を進めていきます。

具体的な方法の一つとして社会生活技能訓練(SST)は、日常生活の中で必要な対人関係の構築を目指し、体験的に訓練を行う方法です。SSTは目標の設定が明確であり、ロールプレイ、モデリング、フィードバックなどの技法を用いて、入院前の振り返りや退院後の対応方法などを身に着けることを目標として行います

リハビリテーションは病状が安定しつつある状態から始め、病棟内のレクリエーションなどから作業療法のプログラムへの参加、薬の必要性などを学ぶ服薬指導など様々な形で実施します。

 

看護観察ポイントとアセスメント、看護目標

パイセン
パイセン
いよいよ観察ポイントとアセスメントだよ。
患者の経過段階によって観察ポイントが違い、行う看護も違うので、よく確認してどの段階の患者なのか確認しながら看護を行いましょう。
ナス子
ナス子
はい、先輩!

急性期で陽性症状が活発な場合

急性期で陽性症状が活発な場合には、まず幻覚や妄想などの陽性症状による影響を確認することが大切です。以下のポイントに沿って患者の観察、アセスメントを行いましょう。

  • 幻覚·妄想による言動の有無と程度(陽性症状の度合い)
  • 自傷他害の危険性の有無と程度(自傷、自殺リスクの評価)
  • 暴力のリスクの有無、攻撃性や興奮の程度(他害のリスクの評価)
  • 症状が日常生活へどのくらい影響しているか(現実と非現実の親和性)

幻覚·妄想が強い場合、あるいは精神運動興奮が激しい場合は刺激の少ない物理的、人的環境を整えることが重要です。

 

隔離による刺激の遮断

刺激の少ない物理的な環境とは、いわゆる隔離での刺激の遮断です。精神科への医療保護、措置入院になって入院する場合には、隔離対応となるケースがほとんどです。

隔離の判断・指示は医師にしかできません。看護師の判断で隔離を行ったり、行動制限を行ってはいけません。

あくまでも、隔離は刺激の遮断によって幻覚や妄想などの陽性症状の改善・縮小のために、隔離は行われるものなので、体罰やしつけのために隔離室へ入室するわけではないことを確認しておいてください。

また、隔離室へ入室すると患者へは、どのような状態になれば隔離が終了するのか説明を行うことが大切です。

 

 

自傷・他害の恐れがある患者への対応、看護

自傷他害の恐れがある場合は安全の確保を第一に治療、看護ケアを行います。

 

自傷・自殺のリスクがある場合

幻聴に左右されて自傷や自殺未遂を行う患者も少なくありません。自傷や自殺を図った場合には、まず身体的治療を行いますが、身体的治療以上に自殺危険度の評価が重要となります。

 

自殺の話題を真摯に受け止めるTALKの原則

自傷・自殺リスクの高い患者への対応はTALKの原則で対応することが重要です。TALKの原則はカナダの自殺予防グループがまとめたもので、自殺リスクの高い人への対応をどのように行えばよいのかの原則です。

TALKの原則

Tell:真摯、誠実な態度で話す

Ask:自殺について真剣にはっきりと尋ねる

Listen:相手の絶望的な気持ちを傾聴し、聞き役に回る

Keep safe:危ないと思ったら一人にせず、安全を確保する

自傷や自殺企図を行った患者への対応で、自殺の話題を避けたり、刺激を与えないように対応してしまうのはよくありません

実際に自傷や自殺企図をしたことは事実として受け止め、真摯に自傷や自殺企図の話題と向き合うことが、自傷や自殺企図の予防につながります。

 

 

また、看護師による逆転移にも注意が必要です。

逆転移とは、看護師が患者に対して無意識に自分の感情をぶつけてしまうことです。

たとえばいかのような対応が逆転移に当たります。

「死ぬ気になれば、何でもできる」
「何度も死のうとしても死ねないね」などと対応する

 

このように、看護師が患者に対してもってしまうネガティブな感情をぶつけてしまうことを陰性逆転移と言いますが、上記のような極端な例はさておき、忙しさにかまけて心無いことをいってしまったり、患者のヘルプサインを無視して対応したりすると、患者の自傷・自殺のリスクを高めてしまいます

 

希死念慮の確認

TALKの原則を基本に、「死にたい」気持ちを確認することは大切なことです。

死にたい気持ちはまだあるのか、具体的な方法を考えているのかなど現在進行形で希死念慮があるか確認を行います。

また、死にたい気持ちを受け止めたうえで、「死にたい」という気持ちは病気が言わせている、病気に影響されて思わされていることを伝えましょう

傾聴したうえで、「あなたが死んでしまったら私は悲しい」「死なないでほしい」ことを伝えることも重要で、患者にとってはポジティブな意味があります。

幻聴に日々さらされている患者は、生と死の親和性が高く、現実世界との帰属性も低下していることも少なくありません。真摯な対応が大切です。

  • 「死にたい」気持ちは病気によって言わされていることを伝える
  • 「死なないでほしい」ことを伝える

 

 

自傷・自殺企図をしないように環境調整

自傷・自殺のリスクが高い場合には、主治医の指示の下で隔離、また一般病床への入院であれば主治医と相談しながら室内環境の調整も必要です。

隔離の場合には、室内への持ち込みも制限されますが、以下のことに注意が必要です。

どのような状態になれば隔離解除となるか目標の説明を行う
15~30分間隔を目安に観察・訪室を行う

 

 

一般病床への入院では以下の対応はの検討が必要かもしれません。いずれにしても主治医と相談してください。

  • 全身チェックを行い、刃物類、鋭利なものを除去
  • カーテン類を外す
  • シーツ、包布を外す
  • 持ち物の持ち込みを必要最低限とする、入浴時も注意
  • 延長コード、ナースコールなどコード類を外す

 

 

 

暴力・他害がある場合

幻覚や妄想による陽性症状、アルコールや薬物の離脱症状に影響されて、スタッフへの攻撃性や暴力の恐れがある患者も少なくありません

まずは、暴力リスクについてスクーリングシートを用いてアセスメントしたり、医師や看護師間で簡易カンファレンスを行い対応方法を検討しましょう。

暴力リスクが高いときには、以下の対応を検討しましょう。

  • 一人では対応せず複数スタッフでの対応
  • 患者に近づくときにはゆっくりと近づく
    ex.視線を合わせすぎず、患者の挙動に注意
  • 患者と関わる場合にはある程度の距離を保つ
    ex.手や足が出ても対応できる距離
  • 相手へ緊張感を与えない
    ex.腕組みをしない、高圧的な言葉を使わない

 

内服治療の見守り、必要時筋肉注射も

看護師は患者、看護師双方の安全に視点をおきながら看護にあたり、患者が安心して治療·看護を受けられる環境づくり、信頼関係づくりを行います。

しかし興奮や攻撃性が激しく内服を拒薬する場合も少なくありません。患者が好む形態(錠剤、水薬、デポ剤)での内服を勧めます。

興奮や激しい拒薬の場合は、鎮静目的でセネレース筋注を行う場合もありますが、呼吸抑制や舌根沈下などに注意して行う必要があります。

 

消耗期(休息期)になり症状が安定してきた場合

上記3が観察の上位となり④患者本人が幻覚·妄想をどの程度認識できるかということも重要です。
上記①、②についても継続して観察することが必要です。

 

消耗期(休息期)の看護ケア
急性期の症状が治まると消耗期に入る。それまでに消費したエネルギーが大きかったこと、薬の作用もあるため一度活力が落ちた状態です。

この時期には症状の鎮静とともに処方薬が減量されることも多いです。休息もとれ、活力が徐々に戻ってくると、少しずつ自分自身の病気が理解できるような働きかけを行います。

幻覚·妄想などの症状により低下していたセルフケア能力も回復してくるので看護師が全てを援助するのではなく、できない部分を援助しましょう。

 

回復期になり活動性が上がってきた場合

回復期の看護ケア
統合失調症の患者は多くの場合、消耗期を経て回復期に移行していきます。

回復期には少しずつ周囲への関心が持てるようになると同時に行動範囲が広がり、自分自身でできることも増えてきます。

徐々に外出·外泊を行い、患者も家族も退院への準備を進めていきます。

回復期が進むと、退院、社会復帰に向けて準備を進めていくが、焦らず無理をしないことが重要です。

服薬の重要性を理解し、継続して服用することが何よりも再発予防につながることを認識してもらいましょう。

こんなときどうする?具体的な対応のポイント

パイセン
パイセン
いよいよ具体的な対応方法を学んでいくよ
ナス子
ナス子
はい!幻聴、幻覚の訴えへの対応や興奮しているときの対応とかいろいろ教えてください

 

幻聴や幻覚の訴えにどうのように対応したらいいの?

ナス子
ナス子
幻聴が「あいつらが俺の悪口をいってみるみたなんだ」と言われたりして対応に右往左往したことがあるんですよね。
パイセン
パイセン
あーよくあるね。幻聴に対しては否定も肯定もしないが基本だけど、具体的にどんな声かけがいいのか見ていこう。

幻聴、幻覚に対する対応は否定も肯定もしない

幻聴や幻覚を訴えている場合には、頭ごなしに幻聴や幻覚を否定すると患者から敵視されたり、関係が悪くなる場合があります。

例えば、患者さんから「幻聴が『あなたは私を悪く言っている』といっている」言われたとします。

当然ですがそんなことはないと思いますので「悪くなって思ってないですよ。それは幻聴ですね」と言いたくなりますが、否定することで幻聴とあなたがグルだと思う患者さんもいます。

幻聴を否定することでかえって幻聴を強める結果になることも

あなたが患者さんを悪く思っていないことは伝えるべきですが、幻聴の内容自体に反応するのではなく、患者が不安な気持ちでいることに対して対応します。

「私は悪く思っていませんし、あなたの味方です。」

「ずっと幻聴が聞こえるのはつらいことですね」

などなど、患者自身のつらい気持ちや不安な気持ちに焦点を当てて共感、傾聴することが大切です。また、安全の保障をすることも大切です。

 

「それは幻聴ですよ」「幻覚ですね。そんなものは見えません」
「どんな声でどこの人がそんなことをいっているのですか?」
「電波がでてるとはどこからでててどのくらいの量が出てるの?」
「身体に発信機が付いてるってどこにどのくらいの大きさの?」
「私にもその幻聴が聞こえます」「私にも見えたりしますよ」

 

幻聴や幻覚の訴えには否定も肯定もしないことが重要です。

「私には聞こえたり見たりはしないですね。でも○○さんには感じていてつらいですね。」

「私はそのような経験はないけど、苦しいですね。ずっと続くことはないと思いますよ。」
「幻聴や幻覚があっても、今ここにいるのは私とあなただけです。ここは病院なのであなたの身の安全は保障します。」

また、常に幻聴や幻覚の世界にいるわけではないため、現実検討能力を引き出すために、「ここにいるのはあなたと私だけ」「ここは病院で病気の影響で入院となったこと」など現実的な話をすることも重要です。

他害の恐れがある幻聴、幻覚は慎重に

幻聴、幻覚は、基本的に否定も肯定もしないことが大切ですが、幻聴が「あいつが俺を殺そうとしてる」と言っている、「あいつらが悪口をいっている」などと他害の恐れがある場合には慎重な対応が求められます。

他人を傷つけそうな時には、まず患者の周りに危険物がないかの確認をして、患者同士やスタッフと患者との物理的な距離に注意して対応しましょう。

また、「幻聴でありもしそれが間違っていたら大変なことになる」「どのような状況でも、他人を傷つけることはやってはいけない」と止めましょう。

 

幻聴や幻覚に対しての対処方法

幻聴、幻覚に対する対処方法として、患者が普段やっている対処方法を実践できるか確認しましょう。

普段は散歩することで気をそらせているのであればそれを実践してもらいましょう。また、実践できないときには、不安時や不穏時などの頓服薬を利用することも検討しましょう。

まずは、薬物を使わない方法で対処できるか、対処できない場合には無理せずに薬物によって幻聴、幻覚を調整することも大切です。

理想をいえば、薬物の利用は最低限にして、患者自身が「あ、これは幻聴だな」「他の人は見えてなさそうだし、幻覚だな」と認識できるようになることです。

「幻聴、幻覚があるけれどあまり気にならない」という状態までもっていくことができれば、幻聴や幻覚自体の頻度も減っていきます。

状態が悪くなって、幻聴や幻覚がひどくなった時には主治医と相談してお薬の調整を行っていくのがいいでしょう。

 

 

興奮している患者へはどう対応したらいいの?

ナス子
ナス子
幻聴や被害妄想で突然沸騰したように怒る患者さんっていませんか?
パイセン
パイセン
あー日常茶飯事だね。興奮した患者さんへの対応で私が気をつけてることを伝えておくね。

興奮している患者への初期対応

幻聴や被害妄想に左右されて興奮することを精神運動興奮と言います。精神運動興奮は自分でコントロール不能な過剰な精神運動を伴います。

大きな声や奇声をあげたり、支離滅裂なことを叫んだりするだけならまだいいですが、自分や他人を傷つける可能があります。

興奮してスタッフやほかの患者へ攻撃性を見せている場合には、まず患者の周りの危険物の除去、他患の避難誘導を行います。

また看護師1名で対応するのではなく、複数名で対応しましょう。できれば男性看護師がいればいいですね。

興奮して壁を蹴ったり、逃げようと出入口をガチャガチャと開けようとしたりすると思いますが、刺激せずにしばらくは自由に振舞ってもらいましょう

看護師も怖れや不安を感じると思いますが、穏やかな声色で患者の話を聞きましょう。何に興奮したのか、何かできることはないか傾聴します。

看護師は、患者がどのような状態の結果、興奮しているのか、興奮してしまったのかをアセスメントします。

案外、それだけで落ち着く患者も多いものです。

多床室やホールなど大勢の患者がいる場所では、患者の刺激になるため、可能であれば個室に誘導し話を聞きましょう。

 

仮に、幻聴や幻覚によって興奮し傾聴だけでは制止できない場合には、経口投与薬であるリスペリドン、オランザピンなどの指示を主治医にあおぎましょう

興奮が強く、自傷他害の恐れがある場合には、やむ終えず、ハロペリドール(セレネース)などの筋注の指示が出ることもありますが、施行後には、呼吸抑制や血圧低下などに注意が必要になります。

拒薬しているときどうしたらいい?

ナス子
ナス子
「この薬はおれに悪さをするから飲まん!」といって拒薬された経験があります。
私が「必要なお薬ですから飲んでください」っていっても、なかなか飲んでくれず困り果ててしまいました。
パイセン
パイセン
統合失調症の患者は病識がない方も少なくありません。
拒薬の場面に出会うことも少なくないと思うでしっかり押さえておきましょう。

拒薬の理由を考える

拒薬する背景や理由は以下のようなものが考えられます。

  • 内服することによる眠気や倦怠感など副作用
  • 副作用による日常生活への影響(やりたいことができない、集中できない)
  • 薬に対する不信感、猜疑心、自分が変えられてしまうのではないかという不安
  • お薬の飲みにくさ、量の多さ

 拒薬する患者への看護対応

統合失調症の患者の中には、副作用やお薬への依存に対して恐怖心を持っている患者も少なくありません。病識のない患者は、内服の必要性を感じず拒薬しているケースもあります。

内服が滞ると当然ながら病状の悪化に繋がりますので、内服していただきたいところです。

しかし一筋縄ではいかないのが人というものです。

まず、患者自身が自分の病気に対してどのように思っているのか(病識確認)、内服の必要性に対してどう考えているのか聞くことから始めましょう。

そこから対応策を徐々に検討していきます。

  • 病識の確認する
  • 内服に対する本人の思い、拒薬する理由を確認する
  • 拒薬する理由に対応した解消方法を一緒に考える
  • 主治医や薬剤師からのお薬説明、お薬の変更の検討、服薬カレンダーの利用

まとめ

統合失調症の患者への看護や対応方法などを具体例を交えて解説してきました。

正直ここまで形にはまった説明を行ってきましたが、臨床では患者それぞれで症状も違いますし、個別性があります。効く薬剤も違えば、看護師と患者同士でも相性があります。

基礎知識を押さえながら患者に合った方法で看護を行っていきましょう。

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